不動産売買の消費税の基礎知識を紹介
コラム | 不動産知識
2024/02/20

不動産売買の消費税について知っていますか?
不動産売買の時の手数料に消費税ってかかってくるの?と疑問に思っている方もいらっしゃると思います。
そんな方向けに不動産売買の消費税について紹介したいと思いますので読んでみて下さい。
不動産売買の消費税についてすでに知っているという方も改めて確認するつもりで読んでみる事で新たな発見があるかもしれません。
まずは、消費税とは何か?から見ていきましょう。
この記事は、東京で不動産売買、建築に関わるお仕事を20年以上経験している不動産営業マンによって監修されていますので安心してお読みいただけます。
この記事の監修者 |
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田中利貴文 |
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宅地建物取引士、一級建物アドバイザー、住宅ローンアドバイザー。 大工として7年間現場を経験し、その後現場監督として5年間建築に関わる。その後、不動産会社に入社。入社より2年で、トップセールスを達成。 2012年8月に独立し不動産売買仲介を主にした株式会社レンズを創業。創業から11年目にして売り上げは、毎年右肩上がり。独自の住宅ブランド「インフィーア」は、独自性があり性能が高いと好評。 趣味は、ツーリングで自然を見に行くのと、筋トレ、読書。 |
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その他の、不動産売買に関しての以下の記事も併せてぜひご覧ください。
不動産売買の仲介手数料の費用相場とは?
https://regavel-auction.com/info/604/
個人間で不動産売買をする時の契約書の作り方とは?
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不動産売買事例を調べる方法とは?売却相場を調べる方法も紹介
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消費税とは?
消費税は、商品やサービスの販売に課される税金であり、支払いは消費者が行います。
理由は、財政の健全化と公共サービスの向上です。
消費税は広範な国民に均等に負担を分散し、景気後退時には収入が自動的に減少するため、財政リスクを抑えます。
直接税ではなく購買行為にかかる間接税であるため、個別の財産や所得情報を集める必要がなく、税務の効率が向上します。
1989年に導入された日本の消費税は、現在10%の一般税率と8%の軽減税率が適用されています。
消費税収入は国の歳出の約40%を占め、社会保障、公共事業、防衛費などに充てられています。
不動産取引の消費税非課税項目
土地の売買
土地の売却や購入では、売買に伴う費用には消費税は課されません。
消費税法では、土地の売買取引は非課税対象とされています。
個人の不動産の売買
建物の売却や購入においても、個人の場合の売買にかかる費用には消費税はかかりません。
消費税法によれば、事業者でない個人が不動産を売買する取引は非課税対象とされています。
例えば、Aさんが所有する住宅を1億円でBさんが購入する場合、この取引には消費税はかかりません。
課税対象事業者が行なっている建売住宅には、消費税がかかります。
生活用品の動産
生活用品の動産を売却する際には、消費税はかかりません。
具体的な例として、Aさんが所有する10万円のソファをBさんが購入する場合、この取引には消費税はかかりません。
しかし、事業者が生活用品の動産を事業として販売する場合は、原則として消費税がかかります。
消費者が販売店で生活用品を購入する際には、商品代金に加えて消費税も支払います。
登録免許税や印紙税
登録免許税や印紙税については、消費税はかかりません。
これらの税金は、消費税法上の国税および地方税に関する法律に基づくもので、消費税の課税対象外とされています。
例えば、Aさんが不動産を売却する際に登録免許税や印紙税が発生した場合でも、その取引には消費税はかかりません。
不動産取引の消費税課税項目
課税事業者が行う建物の売買
課税事業者が建物の売買を行う場合、消費税がかかります。
消費税法では、不動産取引において建物の引渡しを課税事業者が行う場合、その取引には消費税がかかります。
・不動産業者が所有していた建物を別の事業者に売却する場合、売買価格に対して消費税がかかる
・ハウスメーカーが建設した新築住宅を販売する場合、販売価格に対しても消費税がかかる
課税事業者による不動産売買取引は、中古や新築、住居やオフィスなどの目的にかかわらず、消費税の対象となりますので、慎重に対応する必要があります。
仲介手数料
不動産仲介業者が受け取る仲介手数料には、消費税がかかります。
消費税法に基づいて、サービスの提供などの取引には消費税が課税されるため、不動産仲介業者が売主と買主を仲介して売買契約を成立させた場合、その仲介手数料には消費税がかかります。
司法書士に支払う手数料
司法書士に支払う手数料には、消費税がかかります。
不動産取引において司法書士に登記業務を依頼する場合、登記手数料に加えて書類作成や手続きの代理などに対する報酬も含まれます。
これらのサービスに対しては、消費税がかかります。
例えば、不動産の売買契約が成立した場合、司法書士が契約書や登記申請書の作成、手続きを代行する際には、その対価に対して消費税が発生します。
住宅ローン手数料
住宅ローンの手数料には、消費税がかかります。
消費税法に基づき、金融商品やサービスに対する手数料には消費税がかかるため、住宅ローンの手数料も課税対象です。
手数料の具体的な額は金融機関やローンの種類によって異なりますので、借入前には消費税分を含めた計算が必要です。
消費税額を計算方法
不動産に含まれる消費税の計算方法
不動産取引において、土地と建物が一体となっている場合、建物に含まれる消費税額は以下の計算式となります。
「建物にかかる消費税額 = 建物の金額(税抜) × 10%」
建物価格に含まれる消費税額を計算する場合は以下の計算式となります。
「建物価格に含まれる消費税額 = 売買価格 ÷1.1×0.1」
不動産の建物価格が税込1億円で消費税率が10%の場合、消費税額は以下のようにな計算となります。
「建物価格に含まれる消費税額= 1億円 ÷1.1×0.1= 約90,909,091円」
土地と建物の金額が区分されていない場合の消費税の計算方法
課税対象は、建物部分のみで、土地部分は非課税とされます。
もし土地と建物の金額が区分されていない場合、以下の方法で土地と建物を区分する必要があります。
・譲渡時の土地と建物の時価比率による按分
・相続税評価額や固定資産税評価額を基にした按分
・土地と建物の原価を基にした按分
区分された建物部分に対して消費税率が適用されます。
評価額による算出は、通常不動産業者が行いますので、提示された価格が按分されているか確認することが重要です。
消費税を納付する方法
中間報告と中間納付
消費税の納付方法には中間申告制度があります。
年1回ではなく複数回に分納することで納税者の資金負担を軽減し、同時に国として税額を早めに確保することを目的としています。
年1回の納税が大きな負担となる場合、中間申告制度を利用して納税額を分散し、支払いを段階的に行うことが可能です。
中間申告、中間納付の条件や期限は、事業者と個人事業主で異なります。
例えば、事業者の場合は前事業年度の消費税の納税額が48万円超の場合、中間申告制度が適用されます。
納付回数は納税額によって異なり、例えば納税額が48万円超~400万円以下の場合は1回、400万円超~4,800万円以下の場合は3回、4,800万円超の場合は11回となります。
同様に、個人事業主の場合も条件や納付回数が定められています。
不動産売買時の消費税の注意点
消費税は2年後に収める
不動産の売却に伴う消費税の支払いは、おおよそ「2年後」になりますので、注意が必要です。
この期間中、税務署が消費税を算出し、支払いを待つことになります。
そのため、課税事業者として登録されている場合でも、直ちに消費税を支払う必要はありません。
開業と納税の時期に差が生じると、支払いを見落としてしまうことがあります。
納付期限を過ぎれば滞納となり、追加の罰金が発生するおそれがあります。
特に個人事業主は消費税の支払いを見逃すことが多いため、支払いが完了するまで注意しておきましょう。
仲介手数料には消費税が必要
不動産を不動産会社を介して売却した際、仲介手数料は消費税の対象となり、これは個人が売却した場合でも必要な税金です。
仲介手数料の上限額は、宅地建物取引業法に基づき、売却金額に応じて3つの区分に分かれています。
計算時には、売却金額が税抜価格であることに注意する必要があります。
たとえば、500万円の不動産を売却した場合、仲介手数料の上限額は次の通りです。
「(500万円×3%+6万円)+2.1万円(消費税)=23.1万円」
上記以外にもローンの繰上げ返済手数料や借り換え手数料、登記代行費用なども、同様に消費税がかかります。
消費税以外にも払う必要がある税金
印紙税
不動産売却時には、不動産売買契約書に印紙税が必要です。
印紙税の額は契約書に明記された金額を元にして決まります。
契約金額が1,000万円超から5,000万円以下であれば20,000円、5,000万円超から1億円以下の場合は60,000円です。
10万円を超える場合、令和6年3月31日までに軽減措置が適用され、本則税率と軽減税率が適用されます。
契約金額500万~1,000万円以下は、本則税率が10,000円、軽減税率が5,000円で、1,000万~5,000万円以下の場合は、本則税率が20,000円、軽減税率が10,000円です。
5,000万~1億円以下は、本則税率は、60,000円、軽減税率30,000円で、1億円~5億円以下の場合は、本則税率が100,000円、軽減税率が60,000円となっています。
登録免許税
不動産売却時には、名義変更(所有権の移転に伴う不動産登記)には登録免許税が必要です。
登録免許税の額は登記の種類によって異なりますが、所有権の移転に伴う場合は、「固定資産税評価額」×2%が基本税率です。
令和8年3月31日までの期間は、印紙税と同様に軽減税率が適用され、税率は「固定資産税評価額」×1.5%となります。
不動産を譲渡して利益が発生した場合、その利益は譲渡所得として住民税(地方税)と所得税(国税)がかかります。
さらに、平成23年から25年間は、東日本大震災の復興に必要な財源確保を目的とした復興特別所得税もかかります。
住民税・復興特別所得税
不動産の譲渡により利益が生じた場合、その利益は譲渡所得として住民税(地方税)と所得税(国税)がかかります。
平成23年から25年間は、東日本大震災の復興に必要な財源確保を目的とした復興特別所得税も課されます。
譲渡所得税
譲渡所得税も不動産を譲渡して利益が出た場合に課せられる税金の1つです。
住民税、復興特別所得税と合わせてこれら譲渡所得に対する税金は、事業所得や給与所得と分離して計算することから、分離課税と呼ばれています。
税金を支払うタイミングは全て同じ?
印紙税は、売買契約書に印紙を貼る、登録免許税は登記が完了する際に一括で支払いが完了します。
譲渡所得税や復興特別所得税は、不動産を売却した際に発生し、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行い、その後に納税が必要です。
住民税については、5月頃にお住まいの自治体から送付される納付書に基づいて、納付が行われます。
消費税以外で支払う必要がある譲渡所得の計算方法と注意点
譲渡所得の計算方法
売却時には、譲渡所得税と住民税が譲渡所得に基づいて発生します。
不動産を手放す際、最も重要なのは譲渡所得税です。
譲渡所得は、売却不動産の取得費用に売却に伴う費用を合わせてその総額を譲渡価格から差し引いたものです。
具体的には、譲渡所得=譲渡価格-(取得費+売却費用)となります。
取得費用には、所有期間中の減価償却が考慮されます。
住宅として使用された不動産の場合、3,000万円の特別控除が適用されます。
この特別控除を差し引いた金額が、課税の対象となる譲渡所得です。
譲渡所得の注意点
・不動産の所有期間で税率が変更される
不動産の譲渡に伴う譲渡所得税と住民税は、土地や建物の所有期間によって「長期譲渡所得」(5年以上の所有期間)と「短期譲渡所得」(5年以下の所有期間)に分類され、それに応じて税率が大きく異なります。
長期譲渡所得は税率が低い傾向がありますが、所有期間の計算が独特であるため、注意が必要です。
譲渡所得の計算において、所有期間は不動産の購入日から譲渡した日までではなく、譲渡した年の1月1日までの期間が対象です。
例えば、平成25年5月に購入した不動産を平成30年6月に売却した場合、平成30年1月1日までの所有期間は4年であり、5年越の長期譲渡所得とは認められません。
平成31年1月1日を迎えてようやく5年越の長期譲渡所得となります。
これを誤解すると、予想より高い税金を支払うことになるため、不動産の売却を検討している方は慎重に確認しましょう。
・取得費売却費用には仲介手数料等も含められる
取得費用には、土地や建物の購入費用、建築費用、不動産会社への仲介手数料、登録免許税、不動産取得税、印紙税などが含まれます。
土地を自ら取得している場合は、埋め立てや土盛り、測量費、解体費用なども考慮されます。
建物には減価償却が必要で、居住用の場合は以下の計算式となります。
「建物の取得費 × 0.9 × 償却率 × 経過年数」
建物の構造による償却率も異なり、例えば木造は33年で0.031の償却率が適用されます。
例えば、築18年の木造2階建て一戸建ての購入価格が5,000万円で、購入時諸費用が200万円、譲渡価格が4,500万円で譲渡時諸費用が200万円の場合、減価償却相当額を差し引いた取得費は4,195.6万円となり、譲渡所得は104.4万円となります。
取得費が不明な場合は、相続した場合は譲渡価格の5%を取得費として計算します。上記の例では譲渡価格が4,500万円なので、取得費は225万円となります。
節税対策のために知っておきたい特例
持ち家を売った時の特例
「3,000万円特例」は、自己居住用の住宅や敷地の売却に適用され、譲渡所得から最大で3,000万円が差し引かれる特例です。
ただし、前年および前々年に同様の特例や買い替え特例を受けていないことが適用条件です。
この特例を利用するためには、譲渡先が親子、夫婦、生計を共にする親族、同族会社でないことも条件となります。
この特例を利用することで、売却による利益が3,000万円までは税金が免除されることになります。
所有期間が10年を越える不動産を売ったときの特例
「所有期間が10年越えの居住用不動産を売却したときの軽減税率特例」は、3,000万円特例と併用可能な特例です。
所有期間が土地、建物ともに10年以上の場合、税率が軽減されます。
条件は、前年および前々年に同様の特例を利用していないこと、他の特例(買替えや交換など)を利用していないことです。
譲渡所得が6,000万円以下の場合、所得税は10.21%、住民税は4%で、合計税率は14.21%です。
6,000万円を越える部分については所得税が15.315%、住民税が5%となり、合計税率は20.315%になります。
この特例を活用することで、所有期間が10年以上の不動産の売却において税金を軽減することが可能です。
持ち家を買換えたときの特例
持ち家売却に伴う軽減税率特例は、持ち家の所有期間が10年を超え、居住期間が10年以上の場合に適用され、売却する持ち家よりも高額な住宅に買い替える場合、元の持ち家の譲渡益にかかる譲渡所得課税を一定期間先送りできる制度です。
適用条件には、住宅家屋の床面積が50m2以上であること、売却代金が1億円以下であることなどがあります。
詳細は国税庁のホームページで確認することが重要です。
平成21年や22年に取得した土地を売ったときの特例
平成21年度の税制改正により設けられた特例として、リーマンショック後の景気低迷への対応として平成21年度に導入されたものがあります。
この特例では、平成21年または平成22年に取得した土地を売却した場合、1,000万円を控除することが可能です。
適用条件には、平成22年1月1日から平成22年12月31日までに取得した土地であり親子、夫婦、生計を一にする親族、同族会社から譲渡された土地でないことが挙げられます。
しかし相続や贈与などで取得した場合はこの特例の対象外となりますので、注意が必要です。
特定の持ち家の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
令和5年12月31日までに住宅ローンの残高を下回る金額で持ち家を売却し、譲渡損失が発生した場合、その年の給与所得や事業所得から損益通算による控除が可能です。
損益通算による控除が完全に行えなかった場合でも、譲渡の年の翌年から3年以内に繰り越して控除できます。
この特例は、新たな持ち家の購入がなくても適用可能で、適用条件としては、譲渡の年の1月1日時点での所有期間が5年を超えていることや償還期間が10年以上の住宅ローンの残高があることなどが挙げられます。
令和5年12月31日までに売却し、持ち家を買い替えた場合も、同様に譲渡損失を損益通算及び繰越控除する特例が適用されます。
これを「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と呼ばれています。
特例が受けられない事もある
特例は様々な条件や制約があり、物件の種類や属性によっても異なります。
一般的には持ち家に焦点が当てられ、住んでいることが基本条件となることが多いです。
物件の面積、築年数、取得の経緯なども影響する要素となります。
特例の詳細な適用条件や具体的な制度は、税務署や国税庁のホームページで確認することが最適です。
まとめ
今回は、不動産売買の消費税などについて詳しく紹介しました。
不動産売買の消費税について知りたかった方は参考になる内容が多かったのではないでしょうか。
紹介した内容を参考にして不動産売買の消費税に関する知識を深めて下さい。
その他の、不動産売買に関しての記事は以下もぜひご覧ください。
不動産売買の仲介手数料の費用相場とは?
https://regavel-auction.com/info/604/
個人間で不動産売買をする時の契約書の作り方とは?
https://regavel-auction.com/info/603/
不動産売買事例を調べる方法とは?売却相場を調べる方法も紹介
https://regavel-auction.com/info/619/
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